今回は小説家にとってあこがれの賞「芥川賞」について学びます
こんにちは!ためになるYouTubeまとめブログ管理人のゆーくんです。
芥川賞とは純文学作品、特に新人に与えられる文学賞のことを指します。今回は2020年芥川賞にノミネートされた作品の魅力を文学系YouTuberから学びます。
芥川賞とは
出典:日本文学振興会
芥川賞を管轄している団体は公益財団法人「日本文学振興会」ここでは主に
- 毎年における優秀作品に対する芥川龍之介賞の授与
- 毎年における優秀作品に対する直木三十五賞の授与
- 毎年における優秀作品に対する菊池寛賞の授与
- その他の文学賞の授与
- その他目的を達成するに必要な事業
といった賞を用意し、授与しています。
1934年から存在する歴史のある文学賞です。また主に新人に対して与えられる賞となっていますが、細かい定義は定められておらず、デビューから数年経った方や、他文学賞の受賞歴がある方もノミネートされています。また直木賞は大衆文学、芥川賞は純文学に対して制定された賞であるが、その線引きも明確ではありません。原稿用紙300枚未満で連作ではなく、何らかの雑誌に掲載されたものを「芥川賞候補」とする場合が多いです。
最年少受賞は綿矢りささん(受賞時19歳)最年長受賞は黒田夏子(受賞時75歳)です。
過去芥川賞受賞作人気作品について
ゆーくん
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2020年下期芥川賞候補作品について
第164回|芥川賞候補作を全部読んだ私が魅力を紹介&受賞予想します! 出典:文学YouTuberベル
ゆーくん
①推し、燃ゆ/宇佐見りん
- 読後の印象は思っているよりも重い気持ちを引きずる
- 主人公は、何か重い荷物を抱え込んでいるかのようなけだるい印象の女子高生
- 男性アイドルグループのファンであり、彼を応援(推す)ことが生きがい
- 推しが燃えた、ファンを殴ったらしい。この強烈な一文は冒頭8Pで登場する。展開が早い
- 私生活も荒れて、青春の危機、推し文化、普通って何?という疑問など様々なテーマがたっぷり詰まった作品
テレビで流れる星座占いを、自分が大好きなアイドルの順位だけ確認して、家を出る。自分の順位に興味が無かった。この一文が推し文化を端的に表しており、素晴らしいなぁと感じました。わずかな言葉でドラマを想像させる。小説家ってすごいですよね。
②母影/尾崎世界観
- 人気バンド「クリープハイプ」ボーカル尾崎世界観の4年半ぶりの新作
- 小学校でも友だちをつくれず、居場所のない少女は、母親の勤めるマッサージ店の片隅で息を潜めている。
- お客さんの「こわれたところを直している」お母さんは、日に日に苦しそうになっていく。
- カーテンの向こうの母親が見えない。
- 少女は願う。「もうこれ以上お母さんの変がどこにも行かないように」。
- 通常「面影」であるがここでは母と娘の物語として「母影」と表記している。
- 隣のベッドでまたお母さんが知らないおじさんをマッサージしている、から始まる不穏な空気。
- 終始子供目線で語られている作風
- 貧乏で学校でいじめられている女子小学生が主役
- 物語の展開は見事、謎の回収も素晴らしい。
- 普通ではない母と娘の絆や愛情を感じる。
性や愛情や社会問題など取り扱うに難しい題材を子供目線で落とし込んでいく。作詞に長けた方は、文学面でも素晴らしい作品を残せるのではないかと感じた一作です。
③コンジュジ/木崎みつ子
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- コンジュジとはポルトガル語で「配偶者」
- 推しが偏愛だとするならばこちらは「ガチ恋」のお話
- 死んだ伝説のスターを推す主人公の物語
- 主人公の女の子は複雑な環境に育つ。父は神経衰弱で母は父に愛想を尽かし出ていく
- 「現実パート」「伝記パート」「妄想パート」3重構造になっていて、読みやすい
- 主人公を応援したくなる部分や、小説内での伝説のバンドの歌の歌詞が登場したりと読み手に刺激を与える文章も素晴らしい作品
この小説を読んだ著名人の感想の中に「被害性と加害性は不可分である」との一文があり、すごく考えさせられました。誰もが被害者のいち一面と加害者の一面を持ち合わせている。
文学YouTuberベルさんはこの小説の締め方、最後の一文が大好きとの事でしたので気になる方はぜひ読んでみましょう。
④小隊/砂川文次
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- 元自衛官作家が、戦場のリアルを描いた作品
- 北海道にロシア軍が上陸し、日本は第二次世界大戦後初の「地上戦」を経験することとなる、といったストーリー
- 緊迫感と臨場感あふれるストーリー
- 戦闘を扱う場合は、過去の歴史ものが多いが現代を舞台をしている珍しい小説
- 専門用語が多く、読む難易度は高め
- ゴジラのように、突然迫りくる恐怖にパニックになりながらも覚悟を決めていく部分が感動する
- 罪悪感、裏切り、戦争の痛ましさを感じることが出来る
今ある平和は、いつ崩れてもおかしくない。戦後から約80年近く平和な日々を過ごせていることを奇跡と思わなければいけませんね。人類の歴史の大部分は、悲しいかな戦いの歴史です。
⑤旅する練習/乗代雄介
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- 中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父
- 2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み
- ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る
- 泣ける作品、ラストが衝撃的
- おじさん目線で旅が展開していく
- 緊急事態宣言など、現代社会のリアルと重ねて読み進める事が出来る
- オジサンと少女の付かず離れずの微妙な距離感が素晴らしい
タイトル「旅する練習」の意味を作中から読み解くことが出来るか。内容はサバサバして明るい登場人物のおかげで気持ちよく読める作品となっています。
YouTube STUDY POINT!!
文学YouTuberから学ぶ芥川賞候補作の魅力まとめ
いかがだったでしょうか。今回は芥川賞とその受賞候補作についてご紹介致しました。先日、大賞の発表があり、見事2020年下期、大賞を勝ち取ったのは推し、燃ゆ/宇佐見りんでした。
多様性という言葉がトレンドに入るように、幸せの価値観はここから更に細分化されると思います。推す、という文化を根っこから否定するようではここっから先、同性婚や様々な新しい文化が登場するたびに立ち止まり否定を繰り返す人生になってしまいます。まずは知る事が大切です。本一冊が人生に与える影響はとても大きい。読書は老若男女、いかなる時代でも愛された人類最高峰の娯楽です。ぜひこの機会に皆様も一冊、手に取ってみましょう。
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ゆーくん
今後もためになるYouTubeを様々な角度から探し出し、皆様にご紹介します!
それではまた。